英語力ゼロから3カ国語操る大阪フォトガイドへ 「お客様に寄り添う共感力が大切」
- Holidayキャリア
- 2024年12月27日
- 読了時間: 9分
更新日:1月14日
インバウンドのお客様を対象に、写真撮影をしながら様々なスポットを案内する「フォトガイド」として活躍する方々へのインタビュー記事。
今回お話を伺ったのは、偶然手に入れたカメラをきっかけに、出張カメラマンや大阪近辺のフォトガイドとして活躍されている後田 琢磨さん。フォトガイドを始めた経緯や仕事への思い、さらにこれからフォトガイドを目指す人へのアドバイスについてお聞きしました。

大阪を拠点に、世界中からのお客様を笑顔に
— まずは簡単な自己紹介からお願いいたします。
はい。後田 琢磨(ごだ たくま)と申します。普段は大阪を拠点に、大阪近郊や京都などでフォトガイドをしています。使用言語は主に英語ですね。中国語も少し話せますし、スペイン語も挨拶程度なら使えます。趣味は旅行と写真撮影です。
— 語学が堪能なのですね!英語はどのように習得されたのですか?
実は、もともと英語は全く得意ではなかったんです。大学時代にバックパッカーとして海外を旅した際、自分の英語力のなさを痛感しまして。それで、休学してマルタという国に7ヶ月ほど留学しました。
帰国後も、免税店でアルバイトをしたり、撮影の仕事でインバウンドのお客様をご案内したりする中で、少しずつ英語力を伸ばしていったという感じです。
— 英語がほぼゼロの状態で海外に行くとはすごい!なぜ行こうと思ったんですか?
大学の学部が観光学部だったので、周りの友人がよく旅行に行っていました。夏休みといえば旅行に行くのが当たり前、みたいな雰囲気がありまして、その流れで私も海外へ行くようになりました。
— なるほど、周りの影響が大きかったのですね。ちなみに、中国語やスペイン語も話せるとのことですが、独学で勉強されたのですか?
スペイン語は大学の第二外国語で少しだけかじった程度です。ただ、そのおかげでスペイン語圏で仕事をする機会をいただいたこともあります。中国語は以前の職場で中国と関わる機会があったため、会社で講座を受講しました。
カメラとの出会い:偶然から始まった写真の世界
— 次に、カメラを始めたきっかけについてお聞かせください。
カメラを始めたのは高校生の時、2011年ですね。叔父が大手ショッピングサイトでカメラを注文したら、なぜか3つ届いてしまったらしくて(笑)。そのうちの1つを、譲り受けたのがきっかけです。
それから旅行にカメラを持っていくようになり、旅先で少しずつ写真の設定などを覚えていきました。カメラマンになったのは6年前くらいですね。
— すごい偶然!カメラマンになろうと思ったきっかけは何かありますか?
実は前職を辞めた後、たまたまガイドブックの「地球の歩き方」の撮影のお仕事を頂く機会があったんです。
南米でスペイン語を使っての撮影取材だったのですが、自分の撮った写真が本に載った時に嬉しくて。それをきっかけに、少しずつカメラのお仕事を増やしていき、現在に至るといった形ですね。
— そういった経緯があったんですね。今はカメラマンが本業で、フォトガイドは副業という形ですか?
いえ、どちらもメインの仕事です。出張カメラマンとしてロケーション撮影をしたり、インバウンド向けのフォトガイドをしたりしています。

— では、フォトガイドも始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
コロナが終息し、街に海外からの観光客の方が増えてきたのがきっかけです。普段、大阪を拠点にしているので、心斎橋や梅田、京都などに行くと、本当にたくさんの海外の方がいらっしゃるのを見て、「これだけ人がいるなら、英語を活かして何かできないか?」と思ったんです。それで、御社のようなところでフォトガイドをはじめました。
— なるほど。ちなみに、フォトガイドとして初めて仕事をした時のことは覚えていますか?
はい、よく覚えています。シンガポールからのお客様で、道頓堀とアメリカ村で撮影をしました。ファッション関係のお仕事をされている方で、古着屋さんで写真を撮りたいというご希望でした。お客様がお店の方に直接交渉して撮影許可を得ていて、日本人にはなかなか無い感覚で、とても刺激的でしたね。
— シャイな方が多いという話も聞きますが、後田さんが出会われた方はアクティブな方だったのですね。
そうですね。その方は特に印象的でした。
— 実際にフォトガイドをしてみて、何かギャップを感じたことはありますか?
フォトガイドといっても、ガイドをメインに求めている方と、撮影をメインに求めている方がいるということに驚きました。同じフォトツアーを購入していても、ニーズが全く違うんですよね。
あとは、お客様によって情報量の差がかなりあることにも驚きました。アニメが好きで日本のことをよく知っている方もいれば、「大阪ってどこ?」と言うように、全く日本のことを知らない方もいます。かなり違いがあって面白かったです。
— なるほど。お客様によってニーズも様々なんですね。
そうですね。なのでまずは、お客様の好みを聞くようにしています。私が案内しようと思っていた場所と違う場所に興味がある方もいらっしゃいますし、要望もそれぞれ違うので。
お客様との出会い:心に残るエピソードとやりがい

— お客様はどういった方が多いんでしょうか?
そうですね。大阪の場合は、家族連れ、カップル、お一人様がそれぞれ3分の1くらいで、綺麗にバラけていると思います。
国でいうとアジア系の方が多いですね。台湾、韓国、中国、ベトナムなど、アジアのバックグラウンドを持つ方が多いです。たまに、南米の方の撮影もするんですが、ポージングがとってもお上手な方が多いです。
— 国で違いが出るのは面白いですよね。フォトガイドをしていて、楽しかったエピソードもお聞きしたいです。
そうですね。先日、シンガポールからファミリーで来られたお客様に、USJのチケットが余っているから一緒に行かないかと誘っていただき、ご一緒させていただいたのがとても思い出深いです。
— それはすごい(笑)ラッキーでしたね!USJではどんな写真を撮影したんですか?
家族写真を撮らせていただいたり、私も一緒に写真に混ぜてもらったりしました。写真を見返したら、私が一番喜んでいました(笑)。
— 素敵なお話です!逆に、大変だったことはありますか?
通天閣で撮影した時、日差しが強すぎて明暗差が激しく、調整がとても難しかったことですかね。ご家族は日陰で暗く写ってしまい、通天閣は白飛びしてしまうという状況で、編集でも対応しきれませんでした。
— なるほど。天候によって撮影の難易度は変わりますよね。ちなみに雨の時はどのように撮影されるんですか?
雨の時は、屋根のある場所や軒下で撮影できる場所を事前に調べておくようにしています。例えば、京都の撮影であれば、お寺の門の下や商店街の屋根の下などですかね。
フォトガイドの業務:準備と心構え
— フォトガイドの時は何時くらいに集合場所に到着していますか?
10分前には到着するようにしています。ただ、最近は観光客が多くて混んでいるので、15分前、20分前には着くように心がけています。
— フォトガイド中に気を付けていることはありますか?
お客様の貴重品の管理ですね。ジャケットやバッグ、傘などをなくさないように気をつけつつ、写真に写り込まないように配慮しています。また、お客様の状況を見て、私が荷物を持つようにしたり、都度声をかけたりしています。
フォトガイドに必要なこと:共感力と知識

— フォトガイドとして働く上で、必要な要素は何だと思いますか?
語学力はもちろんですが、一番は共感力だと思います。日本に来られる方は、楽しみに来られている方が多いので、その気持ちに寄り添い、一緒に楽しむことが大切だと思います。
— 具体的に、どのようなことを心がけていますか?
お客様のポージングを褒めたり、一緒に楽しんでいることを伝えたりするようにしています。
例えば、ご家族できたお客様の場合、お子さんが走り回っちゃったりとかして、迷惑かけないように遠慮がちになってしまう方も多いんですよね。そんな時に、お子さんの面倒をみるのをサポートしたり、お子さんとカメラを一緒に操作してご両親の写真を撮ったりして、不安な気持ちをほぐすように意識してます。
— 素敵なアプローチです。海外旅行は不安な面もあると思うので、相手に寄り添うことは大事ですよね。
そうですね、あとは何でもかんでも「知らない」と言わないことですね。
お客様の中には1週間くらい日本に滞在している方もいるので、滞在中に浮かんだ疑問を聞いてくれる方も多いんです。その質問に対して分からないから「知らない」と答えてしまうと、せっかくの会話が終わってしまう。
お客様をがっかりさせることがないよう、日本の文化や歴史、社会問題などについて、ある程度知識を持っておくことが大切だと思います。
— やっぱり知識が無いと答えられないことは多いですよね。どのようにしてインプットされているんですか?
海外の人にどう説明したら良いかなという視点で、SNSや動画を参考に情報を集めています。どうしてもわからないことはその場で調べます。宗教や精神性など、専門的な質問も多いので。
フォトガイドを目指す方へのメッセージ

— これからフォトガイドを目指す方へ、気軽にできる第一歩として、何かアドバイスはありますか?
街中で海外の方に声をかけて、写真を撮ってみるのは良いと思います。私も実際にフォトガイドの仕事を始める前、大阪城でやってみました。
最初は本当にガチガチに緊張していたんですが、ほとんどの方が快くOKしてくれました。2時間の間に15〜20組くらい撮影しましたかね。これをしたおかげで、撮影の自信がついたなと思います。
— 今後、フォトガイドとしてやってみたいことはありますか?
今は数時間ほどの撮影が多いのですが、1泊2日など、もっと長い時間で撮影をしてみたいです。ポーズを決めた写真だけでなく、オフショットや、お客様の自然な表情を撮って、色々な姿を捉えたいです。
— 最後に、これからフォトガイドを目指す方へメッセージをお願いします。
フォトガイドは、本当に楽しい仕事だと思います。お客様に直接喜んでいただけて、すぐにフィードバックがもらえるので、とてもやりがいがあります。ぜひ、一緒に頑張りましょう!
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