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「無理な笑顔ではなく、その人らしさを引き出した1枚を」日本文化の本質を伝える関西フォトガイド

更新日:1月14日

インバウンドのお客様を対象に、写真撮影をしながら様々なスポットを案内する「フォトガイド」として活躍する方々へのインタビュー記事。


今回お話を伺ったのは、奈良を中心に関西でフォトガイドをされている川嵜忠佑さん。「日本の文化や歴史を理解してもらうことで、より深く日本を楽しんでほしい」という思いでお仕事をされています。


また、フォトガイドを始めた経緯や仕事への思い、これからフォトガイドを目指す人へのアドバイスについてもお聞きしました。



川嵜忠佑さん
川嵜忠佑さん

留学のきっかけはハリウッドスター


— まずは自己紹介をお願いします!


川嵜忠佑と申します。ガイドエリアは関西圏が中心で、英語のフォトガイドをしています。最近は奈良公園での撮影が多いですね。

御社でのフォトガイドの仕事は1年半ほど前からやっています。趣味はカメラの他に、コーヒーも好きで自分で焙煎したりします。割とインドアな趣味が多いかもしれません。


— カメラはいつ頃から始められたんですか?


大学時代からなので、もう5年くらいになりますね。姉がデザイン関係の仕事をしていて、お下がりのカメラをもらったのがきっかけでした。


— 英語はどのように勉強されたんですか?


元々英語は苦手だったのですが、大学時代に8ヶ月間留学して、アメリカのクラスで授業を受けました。その時に、なるべく日本人と会わないように意識しつつ、ネイティブのような発音をする人の口の動きを真似るようにしていました。


— 留学しようと思ったきっかけは何だったんですか?


将来ハリウッドスターと友達になりたいという、単純な動機からです(笑)。英語が話せないと無理だと思い、留学を決意しました。



趣味のコーヒーを楽しむ川嵜さん
趣味のコーヒーを楽しむ川嵜さん


フォトガイドの仕事を選んだ理由



— フォトガイドのお仕事を始めたきっかけは何だったんですか?


留学で英語をある程度使えるようになったので、それを活かしたいと思っていました。また、カメラも好きだったので、両方活かせる仕事はないかと探していたのがきっかけです。


それに、コロナ禍が明けて海外からの観光客が増える中で、日本のことを知らないまま観光している人が多いと感じていて…。日本人のおもてなし精神は素晴らしいと思うのですが、それだけでなく、日本の文化や歴史をきちんと伝えられる場所を作りたいと思ったんです。


撮影中の様子
撮影中の様子

— 日本のことを伝えるために、具体的にどのようなことをされていますか?


例えば、神社やお寺のことを関東では「寺社仏閣」とまとめて言われることが多いと思うんですが、奈良では「社寺仏閣」と言うんです。日本は神社から始まっていて、お寺はインドから入ってきたものなので、神社を大切にするべきだという考え方があるから「社寺仏閣」と言う必要があるんです。


海外の人は日本の寺を見て、日本の宗教や文化と捉える人も多いかと思うんですが、そうじゃないよって。日本では、古くから神社を大事にしていて、自然の中に神様がいるという考え方が根底にあるので、自然を大事にして綺麗な国として存在しているんだよってことを伝えています。


— 日本文化の深いところまで伝えているんですね。そういった知識は、フォトガイドを始めるにあたって学ばれたんですか?


いえ、そうではなく、留学中にキリスト教が生活に根付いているのを見て、日本の文化や宗教について個人的に興味を持ったのがきっかけです。


観光客の方に、日本の文化や歴史を理解してもらうことで、より深く日本を楽しんでほしいと思っています。例えば、「ゴミを道に捨てないのは、そこら中に神様がいるという考え方があるからだよ」と伝えた上で、少しでも綺麗にしようという気持ちを持ってくれたら嬉しいなと思います。





仕事のやりがいと喜び


— フォトガイドの仕事で、特に印象に残っていることはありますか?


プロポーズのサプライズをしたいというお客様がいて、その瞬間を隠し撮りしてほしいという依頼ですかね。


2人で写真撮影をするという内容でしたが、実際は男性側しかそのことを知らず、待ち合わせ場所ではなく、特定のポイントで合流して、そこから隠し撮りが始まりました。

うまくいって本当に良かったですが、いつもとは違う形だったので、とても印象に残っていますね。


— そんな撮影もあるんですね!フォトガイドの仕事を通して、得られる喜びや学びはありますか?


海外の人と話すのは、本当に楽しいです。毎回新しい発見があります。ネットの情報は偏ったものが多いですが、実際に現地の人から話を聞くことで、より深く理解することができます。


例えば、ロシアの方に今の状況を聞いたり、ウクライナの方にも話を聞いたり、イスラム教を信仰している人たちとニュースに対する考え方を話し合ったりします。センシティブな話題ではありますが、そういった話を通して、お互いの距離を縮めることができるし、そこから生まれる自然な表情を写真に収めることができるので、とてもやりがいを感じます。



会話を楽しんでいる様子
会話を楽しんでいる様子

— そういったセンシティブな話題に触れる際は、どのようにアプローチしているんですか?


まずは自分のことを包み隠さず話すようにしています。「僕はこういう人間です」と伝えることで、相手も心を開いてくれることが多いです。その上で、相手に対してたくさん質問します。「なんで日本に来たの?」「日本に来るのは何回目なの?」など、会話を重ねるうちに、色々な話が聞けるようになります。


関係性が築けてきたタイミングで、「ニュースで大変なことになっているけど、大丈夫ですか?」と心配する気持ちを伝えながら、実際の状況を聞くようにしています。




フォトガイドの働き方と1日のスケジュール


— フォトガイドの仕事は、本業としてされていますか?


フォトグラファーが本業で、その中の1つのジャンルとしてフォトガイドをしています。家族写真やウェディングの撮影なども行っています。


— フォトガイドの仕事がある時はどんなスケジュールで動いてますか?


奈良の場合は自宅から近いので時間に余裕がありますが、大阪や京都の場合は、3時間前には現地に移動します。集合場所の近くに1、2時間前くらいに着くようにして、Wi-Fiと電源のあるカフェで作業をして待ってます。


たまに、30分前くらいに到着するお客さんもいるので、すぐに対応できるようにその形をとっていますね。撮影が終わった後は、できるだけその日のうちに写真をお渡しできるように、カフェや自宅で写真の整理をしています。





— 確かに、早めに着いていれば臨機応変に対応できますね。ちなみに準備段階で気をつけていることはありますか?


バッテリー残量やSDカードの容量は必ず確認します。また、事前に場所やルートを調べて、スムーズに撮影ができるように準備しています。


お客様が撮りたい写真を共有してくれている場合は、そのイメージに合う場所を選んだり、ルートを考えたりもします。




フォトガイドを目指す人に向けて


— フォトガイドは、どのような人が向いていると思いますか?


写真が上手なことは、必ずしも重要な要素ではないんじゃないかと思います。最も大切だと思うのは、「人に興味を持てること」かなと。


写真の良し悪しだけでなく、「この人に撮ってもらって良かった」と思えるかどうかは、撮影中のコミュニケーションによって大きく左右されます。日本のことを知りたい、日本人と話したいと思っている海外の方にとって、私たちがどんな風に接するかが満足度につながってくるんじゃないかなと感じています。



— 確かに、写真データだけでなく体験そのものを求めているお客様は多いと思います。コミュニケーションで特に意識していることはありますか?


その人らしさを引き出すことを意識しています。素の部分を言葉にしてもらい、その人の個性を理解することで、無理に笑顔を作るのではなく、クールな人なら無表情でもいいし、その人らしい表情を写真に収めたいと思っています。




フォトガイドになるために必要なこと


— フォトガイドの仕事をする上で、必要な要素は何だと思いますか?


コミュニケーション能力はもちろんですが、カメラを扱う上での平行感覚やバランス感覚は必須だと思います。


また、機材を大切にする気持ちも大事ですね。レンズキャップをきちんと閉めるなど、レンズに傷がついたら撮影ができなくなるので。基本的なことだと思うのですが、予期せぬトラブルを防ぐことにつながると思います。


— 未経験の方が、気軽にフォトガイドを始めるための第一歩として、何かいい方法はありますか?


気軽かどうかはおいといて、街に出て無料で人を撮影する練習をしてみるのはどうですかね。30分間一緒に歩いて、話しながら写真を撮る練習は、実際のフォトガイド業務ととほとんど変わりません。声をかける勇気は必要だと思いますが、海外の人だったら基本的にOKしてくれるんじゃないかと思います。




今後の目標とメッセージ



— フォトガイドとして、今後やってみたいことや目標はありますか?


1度ご利用いただいたお客様から、「来年もお願いしたい」と言われるようなガイドを目指したいです。写真だけでなく、私とのコミュニケーションを含めて、満足していただけたら嬉しいです。


— 最後に、フォトガイドを目指す人にメッセージをお願いします。


海外からの観光客が増える一方で、オーバーツーリズムという課題もあります。写真を撮る上で、住んでいる人たちへの配慮を忘れない、そういったマナーの部分も海外の方に伝えていくことも大切なんじゃないかなと思っています。


ガイドという、直接的な接点を持てる存在だからこそ、日本人の生活を守る旅行の仕方を伝えてあげつつ、良い写真を撮ることを意識してほしいなと思います。



 

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